時には追いかけるために
時には並んでゆくために
しかしほとんどは
ひたすら逃亡のために
私は走り続けた
渡り鳥が好きだった
彼らは季節からの逃亡者
命の限り
逃げ続ける
走者は己だけの空間を把握する
すべての風を己の呼吸とし
何を見るのでもなくただ
前を感じる
走者はいつしか己の内に広がる空間を感じ始める
そこには外とまったく同じ風が吹いていて
己が誰とも変らないことを認識するに至る
走者は走り続ける
己だけの速度と時間を
内に凝縮するために
走ることで疲れる者は
走者ではない
走者は走ることで
疲れることがなく
弱ることもない
求めても見つからぬ己を
走るときにのみ
抱え込むのだ
古き友よ
君たちはまだ走り続けているだろうか
俺は今
いつかあいつになってやろうと
琉球の風に舞う燕を
いつも見上げている